ロボット社員

RPAという分野があります。
ロボティック・プロセス・オートメーションの頭文字ですが、まぁ、単に「ロボット」と認識して間違いがありません。
そして、ロボットという語感から得られるような鉄の塊ではなく、プログラムです。
あたかも、人間が操作しているかのようにマウスを動かし、クリックして、文字入力をしたり、コピペしたりと、そんなロボットがRPAという分野です。

こいつに出来ることは、教えた手順を、何度も文句を言わずに繰り返すことだけです。
例えば、社員が申請した定期券の区間と金額の一覧から、1件ずつ、実際の路線検索ページで調べて金額を照らし合わせて、合っているかどうかを調べる、といった面倒な作業をこなしてくれる、というデモを見ました。
これ、小さい会社だと1件ずつ調べて確認しているかも知れませんが、RPAに一度覚えさせれば、以後、同じことを全部繰り返して調べてくれるので便利といえば便利です。

こういう手作業は、パートさんなどに「こうやっといて」などと任せていた単純作業でもありますが、特に判断の要らない手作業は、月額約7万円のロボットさんに取って代わる可能性があります。
ただ、曲者は「判断の要らない」という部分です。
ロボットでも、人工知能のような判断能力も理解力もありません。
作られた作業手順を、淡々とこなすだけなので、使いどころを間違えれば効果がありませんし、そもそも、「なんで、そんなことしてんの?」という業務をわざわざロボットさんに置き換えるなら、壮大な無駄遣いかも知れません。

先の定期代の例示も、もし、申請した金額と実際の検索結果を照らし合わせて不一致を探すなら、最初から、金額など申請させずとも、区間情報だけ申請させ、その情報から金額を検索して、その金額を支給すれば済む話。
無駄な仕事をロボットにやらせても、無駄な仕事を繰り返すだけ、という点が面白くもあり、難しくもある点でしょう。

このRPAという分野、面白そうだけど、使い道は限られるなぁ、というのが本音の感想です。
ただ、そのRPAに対する作業手順の作り方は、小学生のプログラミング学習の中身と大差のない、とても簡単な方法で作れますので、今時の小学生が成長して就職し、RPAで業務の合理化を図った結果、リストラされるのが自分のお父さん世代、という悲劇があるかも知れません(笑)
結局、ロボットもRPAも使い方次第。
何が正解かを求めるよりも、自分たちの問題を見極めて、上手に使った人が正解なんでしょうね。
そういう視点で考えれば、手間を惜しまず、苦労が仕事だと思っている傾向がある日本の「まじめさ」は、かえって、足手まといになるかも知れません。

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